高浜虚子の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作8選

出典:[amazon]高浜虚子 名作全集: 日本文学作品全集(電子版) (高浜虚子文学研究会)

高浜虚子は、近代俳句の礎を築いたといわれる正岡子規の愛弟子で明治から昭和まで活躍した俳人・小説家です。「ホトトギス」の編集に携わり、俳句の伝統を守る守旧派を貫き、85歳という人生のなかで多くの弟子を育てました。
今回は、高浜虚子の作品の特徴やおすすめ代表作をご紹介します。

高浜虚子の作品の特徴と評価

高浜虚子の作品は、自然の美しさや風流を題材にした俳句が多く、目の前の風景をそのままうつしとる写実的な俳句が得意という特徴があります。虚子はいったんは俳壇を離れたものの、五七五調にとらわれない新傾向の俳句を唱えていく盟友・河東碧梧桐を見て、俳句の世界に戻り「守旧派」として対立しました。俳壇に虚子が復帰してからは「ホトトギス」は日本一の俳句雑誌となります。

師の正岡子規亡き後、花や鳥といった自然の美しさを詠み込む「花鳥諷詠」と、客観的に情景を写生するように表現しつつ、その奥に言葉では表しきれない光景や感情を潜ませる「客観写生」といった考え方を提唱します。

俳句を詠むかたわら、俳句の指南書や俳句集も多く出版し、虚子の俳句観や作り方など現代にも学びの深い作品もあります。また小説家として、師匠や夏目漱石などとの思い出も執筆しており、虚子独特の写生的な目で捉えている点も特徴です。

高浜虚子おすすめ代表作8選

ここでは、高浜虚子の代表作をご紹介します。高浜虚子は俳人ですが小説も書いており、作品全体を通して、おもに自身の俳句観を伝える内容や、作品集、師である正岡子規についての内容が多いといわれます。気になるものから手に取ってみてください。

子規句集

明治20年~35年の正岡子規の俳句から、高浜虚子が秀句2306句を選び収録した俳句集で、1年ごとに季節順に掲載されています。なかには「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」といったかの有名な句も入っているほか、高浜虚子や碧梧桐、夏目漱石などが関わる句や死に向かいながら詠んだ句などさまざまな情景が浮かんでくる俳句集です。

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俳句の作りよう

高浜虚子による俳句の指南書です。お手本の句をあげて、俳句の作り方を解説しており、まるで高浜虚子先生の授業を受けているかのような作品です。まずは17文字を並べてみようからはじまり、17文字や季題という拘束を喜んぶことの大切さ、二つの物事の間に意味を見いだすには、その両者をよく知っていなければならない、じっと眺め入ることや案じ入ることをしよう、埋め字を考えよう、新しい句を作る際は先人の句を研究しよう、などといった実践的な本です。現代にも通じる内容で、俳句以外にも何かを創造したりアイデアを出したりする方は参考になるかもしれません。

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俳句とはどんなものか

俳句初心者に向けて、学び方や俳句の作り方について小学生にも分かるように伝えようと試みた作品です。まずは俳句の概念について、17文字であることと松尾芭蕉が作り上げた文学であることを述べ、季語について、写生を大切にすること、技法、俳句の略史など例を挙げながら説明しています。この作品を読んでいると、俳句を詠みたくなってしまうのが不思議です。

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俳句はかく解しかく味わう

松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶、正岡子規など29人の俳句約200句を取り上げ、俳句とはどういうものか、どう味わったらよいかを解説しています。『俳句の作りよう』『俳句とはどんなものか』『俳句はかく解しかく味わう』は俳論三部作と呼ばれています。

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俳句への道

高浜虚子の俳句に関する思想が書かれており、「客観写生」と「花鳥諷詠」の2つを説明しています。客観写生に専念して初めて、読者が主観的になるのだということが述べられています。

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虚子五句集(上下巻)


上巻は「五百句」「五百五十句」「六百句」の三3句集を、下巻は「六百五十句」と「七百五十句」が収められています。高浜虚子の俳句をじっくり味わうのにぴったりな句集です。

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柿二つ

高浜虚子と正岡子規、二人の俳人の姿の写生文的な本です。亡くなった師匠の目線で事実が淡々と書かれていおり物語としても興味深い作品です。

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回想 子規・漱石

高浜虚子による「子規居士と余」「漱石先生と私」の2編が入っている、正岡子規と夏目漱石の回顧録です。文中には、河東碧梧桐や藤野古白も登場します。虚子が若い頃から子規に弟子として愛情を注がれていました。そんな子規との日々と子規が病床に伏せ、亡くなるまでが書かれています。子規との思い出のエピソードも豊富で、例えば京都での紅葉を見に行って、子規がハンカチに紅葉を映しとったことや、闘病の様子など、ありありと伝わってきます。

一方、夏目漱石との話は、最初は夏目漱石の俳句を虚子が添削していたところから「ホトトギス」に「吾輩は猫である」を連載するようになってから、漱石は有名になっていく様子がわかります。また漱石からの書簡も豊富で、漱石が気になる方も興味をそそられる内容です。

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まとめ

高浜虚子は、師である正岡子規の影響を多分に受けながら、自身の俳句の考え方を編み出し貫き、生涯を通して多くの弟子を育てました。俳句は1句ずつ楽しめるので、俳句集で気に入る句を見つけてみるのもいいですし、小説から高浜虚子や正岡子規、夏目漱石などの人物にふれてみるのも楽しいですね。

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>>高浜虚子ってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

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