国木田独歩の作品の特徴及び評価。おすすめ代表作7選

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国木田独歩は、明治時代を生きた自然主義文学の先駆けといわれる作家です。有名なのは小説ですが、ジャーナリストや編集者、詩人としても活躍し、現在も続いている雑誌『婦人画報』の創刊者でもあります。36歳という若さで肺結核のため亡くなりましたが、今なお読み継がれている作家です。
この記事では、国木田独歩の作品の特徴や評価、おすすめ作品をご紹介します。

国木田独歩の作品の特徴と評価

国木田独歩の作品は「武蔵野」や「牛肉と馬鈴薯」といった浪漫的な作品のあと「春の鳥」や「竹の木戸」などで自然主義文学の先駆けと呼ばれました。夏目漱石は「巡査」を絶賛し、芥川龍之介も高く評価しており、外国語に翻訳された作品もあります。

国木田独歩の作品は短編ですぐ読める気軽さや、エッセイのものが多いので明るく読みやすい印象があります。明るさやユーモアのなかにも少し影のあるストーリーや人物が登場することも特徴です。

国木田独歩のおすすめ作品7選

国木田独歩のおすすめ作品をご紹介します。どれもそれほど長い話ではないのでぜひ挑戦してみてください。

武蔵野

国木田独歩の代表作と言えば『武蔵野』です。当時の武蔵野の自然あふれる姿や人々の暮らしが描かれています。武蔵野の水流が各地を巡って四谷上水、神田上水となっていく様や、目黒、所沢、八王子、新宿など現代でも馴染みのある地名が数多く登場するので、現代と照らし合わせて読むのもおもしろいでしょう。また鳥のさえずりや虫、馬のひづめ、風など自然に関する描写が特徴で、武蔵野の美しさや独歩の愛着のようなものが伝わってきます。

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忘れえぬ人々

溝口の亀屋という宿場でたまたま落ち合った二人の芸術家が忘れえぬ人々について談義する物語です。
無名の文学者大津と無名の画家である秋山が、大津が書いている『忘れ得ぬ人々』という原稿を中心に朝まで語り合います。「忘れたところで人情も義理も介さない人であるのに忘れられない人がいる」そんな人たちを大津は文章にしているといいます。2年後、この日の夜の話が原稿に加えられていましたが、書かれている内容が予想外なのです。

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牛肉と馬鈴薯

複数人での集まりのなかで「諸君は牛肉と馬鈴薯とどっちが可い?」という質問から討論が展開していく話です。「ビフテキに馬鈴薯は付属物だ」とか「馬鈴薯も全きりないと困る、しかし馬鈴薯ばかりじゃァ全く閉口する!」といったユーモアのある討論が繰り広げられます。そして北海道と言えば馬鈴薯だという内容から、北海道開拓の時代に夢を携えて北海道へ行った人もいたことなど歴史的なことも分かり、さらには政治や恋、宇宙、私とは何かにまで話が広がっていきます。冗談交じりかつ時々激しい会話も楽しめる小説です。

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春の鳥

地方の教師をしている私が「白痴」の少年について語る物語です。「白痴」の少年に勉強を教えて欲しいといわれた私が教えてみるものの何も習得しません。少年は鳥が好きで、いつも山の天守台で鳥をみていましたが、あるとき落ちて死んでしまいます。母親の悲しみが伝わり心が痛くなると同時に、余韻のある美しさを感じる作品です。

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号外

銀座の喫茶店に通う加藤男爵と彫刻家の中倉先生、そして私や喫茶店のお客たちの中で繰り広げられる豪快な談義の話です。加藤男爵は日露戦争での挙国一致で一喜一憂することが生きがいでしたが、戦争が終結し、号外が配られることもなくなりがっかりしています。最後に店の外に出た私が「たしかに銀座の街もどこかがっかりしているようにみえる」そして「そこで自分は戦争でなく、ほかに何か、戦争の時のような心持ちにみんながなって暮らす方法はないものかしらんと考えた。」とあります。日露戦争のころの人々の心持ちや様子がわかるとともに、談義が盛り上がっている様が伝わってくる作品です。

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運命論者

「僕」が砂浜で読書をしていると、怪しげな青年紳士が近くへ来て「ブランデーを飲んでいることを秘密にして欲しい」と言います。”隠して置いた酒さえも何時か他人の尻の下に敷かれて了うのか、と自分の運命を詛ったのです”という話から、「運命論者」である青年紳士の身の上話がはじまります。

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巡査

私と山田銑太郞という巡査の関わりを描いた作品です。巡査は見た目は怖いが、愛嬌のあるよく笑う人物で、国に女房と子どもを残したまま気ままな一人暮らしをしています。
火鉢を囲んでお酒を飲みながらおしゃべりをし、自分はすっかりこの巡査が気に入ってしまったと言って終わっています。まるで読んでいるこちらまで巡査を気に入ってしまうような描写が、素敵な作品です。

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まとめ

いかがでしたか?今回は国木田独歩の作品の特徴とおすすめ作品7選をご紹介しました。国木田独歩の作品は、短編で読みやすくユーモア混じりのものも多いため、気軽に読めるのではないかと思います。青空文庫や「国木田独歩全集」という46作品が1冊にまとまった本もありますので、気になる作品から手に取ってみてはいかがでしょうか?

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>>国木田独歩ってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

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