半村良ってどんな人?その生涯は?本名やペンネームの由来は?性格を物語るエピソードや死因は?

出典:[amazon]半村良―SF伝奇ロマンそして… (KAWADE夢ムック 文藝別冊)

半村良(はんむら・りょう)という作家を聞いたことがあるでしょうか?「戦国自衛隊」や「岬一郎の抵抗」などの作品で知られる半村は、昭和に活躍したSF作家であり、架空戦記ものの元祖と称される人物です。またSF作品だけではなく、多くの職業を渡り歩いた経験から執筆された「人情もの」作家としても高く評価されています。SF小説から人情ものまで幅広いジャンルを手がけた半村良とはどのような人物だったのでしょうか。今回は半村良の生涯やエピソードについてご紹介します。

半村良の生涯について

半村良は1933年10月27日、東京府東京市葛飾に生まれました。小学1年で父・茂が亡くなったため、母の女手一つで育てられたそうです。幼少時代は太平洋戦争の足音が近づいていたため、1942年から1945年の3年弱、母親の実家の石川県能登に疎開しています。終戦間際に東京にもどった半村は、中学卒業後は東京都立両国高校に通いました。高校時代の半村は野球部に所属し、熱心に励んだそうです。

高校を卒業した半村は大学へは進学せず、キャバレーやバーテン、コピーライターなど、のべ30の職に就いたそうです。職を転々としたと聞くと堪え性のない人物を想像してしまいますが、神田の神保町で任された「神田茶屋」はとても繁盛したそうで、大力士の大鵬や王貞治がよく訪れていました。最終的に広告代理店に就職した半村は、サラリーマンとして働きながら執筆活動を続けます(この時代については、半村の「わすれ傘」で詳細に語られています)。

1962年、短編集「収穫」がハヤカワSFコンテストに入選し、念願の作家デビューを果たします。それと同時に、日本SFクラブの事務局長に就任し日本のSF小説の発展に貢献しました。1960年代、半村があまり作品を発表しなかったのは、当時SFマガジンの初代編集長をしていた福島正実(※1)との不和が原因と言われています。

福島が編集長を退職すると、同じくSF作家の森優(もり・ゆう)が編集長となり、これにより半村に執筆の依頼が次々と舞い込むことになります。1970年に発表した「赤い酒場を訪れたまえ」で本格的に作家活動を始めた半村は、翌年の1971年、自衛隊が戦国時代にタイムスリップするという大胆な設定で書かれた「戦国自衛隊」が話題となり、架空戦記の元祖と呼ばれるようになります。また同年「石の血脈」も好評を得たことで、半村は一躍人気SF作家として注目を浴びます。

1973年には、異能の力を持った<ヒ>一族が活躍する「産霊山秘録(むすびやま・ひろく)」で第1回泉鏡花賞を受賞し、これ以降もSFものから人情ものまで旺盛な執筆活動を行います。そして泉鏡花賞を受賞した2年後の1975年、「雨やどり」でSF作家として初めて第7直木賞を受賞し、半村の人気は不動のものとなりました(ただし「雨やどり」はSF小説でではありません)。

その後も、SF作品と人情ものを多数執筆した半村は、1988年「岬一郎の抵抗」で日本SF大賞、1993年「かかし長屋」で柴田錬三郎賞を受賞。半村の文壇での名声はますます高まりました。晩年は北海道苫小牧や栃木、群馬に移住して執筆活動を続けた半村ですが、2002年3月、肺炎のためにこの世を去りました。享年68歳でした。

※1、日本を代表するSF作家の1人です。福島正実は純粋に科学と文学が融合した作品を目指していたため、スペース・オペラ(例・ガンダムなど)のようなSFは好みではありませんでした。こうした点で、自由なアイディアを形にする半村とは考えが合わなかったのかもしれません。福島は自身の作品の他に、アーサー・C・クラークやアイザック・アシモフなどの翻訳も手がけています。

本名やペンネームの由来について

半村良という名前はペンネームであり、本名は清水平太郎と言います。半村良の由来は、日本で活躍していたアメリカのタレント、イーデス・ハンソン(存命)から採用されたという説がありますが、これはSF作家の小松左京が言った冗談だそうです。実際は、半村良本人が語呂を考えて命名したペンネームだそうです。

性格を物語るエピソードは?

本人が述べるところによると、高校時代からタバコや酒を飲むなど「手のつけられない」学生だったそうです。高校生のときから銀座でバーテンをしていた半村は、銀座や新宿で水商売をしながら「人を見る目」を養っていたのかもしれません。余談ですが、新宿で勤めていた「とと」というバーは文壇バーだったようで、「とと」には吉行淳之介や安岡章太郎、水上勉などが頻繁に訪れていました。

死因について

半村良は2002年3月4日、肺炎のため68歳でこの世を去りました。晩年も旺盛な作家活動は衰えず、「かかし長屋」(1992年)や「葛飾物語」(1996年)などを発表しています。亡くなった2002年には、日本冒険小説大賞特別賞を受賞しています。

まとめ

半村良の生涯やエピソードについてご紹介しました。およそ30もの職業を経験した半村良は作家デビューが遅かったものの、そこで培われた経験を作品に反映させ、多くの読者を獲得しました。SFにあまり興味のない方も、半村作品に引き込まれること間違いなしですので、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

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