二葉亭四迷ってどんな人?その生涯は?性格を物語るエピソードや死因は?

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二葉亭四迷はその独特な名前から、知っている人も多いでしょう。彼は明治時代を代表する文豪と言われていますが、残した作品はそれほど多くはなく自己の作品に批判的でもありました。45歳で志半ばにして亡くなってしまいますが、言文一致体の先駆けともいわれる作品を残したり、ロシア語が堪能でロシア文学を翻訳したり、特派員として派遣されたりもしました。今回は、二葉亭四迷の生涯と性格を物語るエピソードなどをご紹介します。

二葉亭四迷の生涯


ここでは二葉亭四迷の人生についてみていきましょう。

誕生から学生時代

二葉亭四迷は本名長谷川辰之助といい、1864年4月4日(元治元年2月28日)の江戸時代末期に生まれました。諸説ありますが、現東京市ヶ谷の尾張藩上屋敷に生まれ、父は鷹狩り供役の長谷川吉数、母は志津といいます。4歳のときに母の実家のある名古屋に移り、野村秋足の塾で漢学を学び、名古屋藩学校でフランス語を学びます。

その後幾度か引っ越したのち、ロシアと結ばれた樺太千島交換条約をうけて、日本の危機感をもったため、陸軍士官学校を受験しましたが、不合格。軍人の道を諦め、外交官を目指します。1881年から、東京外国語大学ロシア語科に進学し、レフ・メーチニコフらにロシア語を学び、次第に当時黄金期だったロシア文学に心酔するようになります。大学はその後の合併騒動にともない中退しましたが、彼の素養はここで培われたといえるでしょう。

執筆活動のはじまりと官吏や教師時代

1886年に『小説神髄』への疑問を問うたのがきっかけで、坪内逍遙のもとへ通うようになり、坪内のすすめで「小説総論」を『中央学術雑誌』に「冷々亭主人」という名で発表しました。

翌年には『新編浮雲』第一篇を坪内逍遙の本名である「坪内雄蔵」の名義で刊行し、そのはしがきで「二葉亭四迷」と名乗ることとなります。なぜ自分の名前で出版できなかったかというと、坪内逍遙でないと本屋が承諾しなかったためとも、有名人の威を借りたためとも言われています。この『浮雲』は写実主義の描写と言文一致の文体で書かれたことが特徴で、当時の文学界に影響を与えました。

またロシア語が堪能だった二葉亭四迷は、ロシア写実主義文学を翻訳し、紹介する活動もしていました。例えばツルネーゲフの『猟人日記』の一部を「あひゞき」として翻訳し、自然描写の文体が多くの作家に影響を与えました。

1888年には内閣官報局の官吏となり、この頃から社会主義の影響をうけて貧民の救済にも興味を持ち、その縁で娼婦である福井つねと結婚します。

1895年からの数年間は、陸軍大学、東京外国語大学、海軍大学校のロシア語の教師を務めました。1902年にはロシアへ渡り、世界の共用語として考案されたエスペラント語を修得し、日本初のエスペラントの教科書『世界語』を執筆します。

新聞での連載が大ヒット。ロシア派遣から亡くなるまで

内藤湖南の紹介で1904年に大阪朝日新聞に入社したものの仕事が合わず、東京朝日新聞にて小説の連載を開始します。二葉亭四迷自身はあまり執筆に気乗りしなかったためか、月給100円という当時では高給の待遇でした。『其面影』や『平凡』を発表し、大好評を得ます。

1908年には朝日新聞特派員としてロシアのペテルブルクへ赴任します。すでに肺を患っていたため、友人には止められたそうです。ロシアでは森鴎外の『舞姫』や国木田独歩の『牛肉と馬鈴薯』のロシア語訳も行う一方、経済的不安や厳しい気候、白夜のため不眠症などに悩まされていました。

そして1909年ウラジミール大公の葬儀の際に、雪の中にずっと立っていたことが災いして風邪をこじらせ発熱し、肺炎から肺結核へと悪化してしまいます。このとき死を覚悟した二葉亭四迷は、妻や祖母へ遺言状を書いたそうです。

友人のすすめで、4月10日にロンドンから日本郵船の加茂丸に乗船し、フランスからエジプトを通り日本へ向かいますが、二葉亭四迷の体力はもたず、5月10日にベンガル湾沖で肺炎が悪化し死去しました。シンガポールで火葬がなされ、遺骨は5月30日に帰国しました。45年の人生でした。

死後、朝日新聞社より全集が出版され、校正は石川啄木が担当したそうです。

二葉亭四迷の性格を物語るエピソード

「二葉亭四迷」という名前の由来は「くたばって仕舞え」からくることをご存知の方も多いかもしれません。では、何を罵ったのかというと、自分自身だといわれています。処女作の『浮雲』を坪内逍遙の名を借りて出版したことが情けなく、自己卑下の気持ちが表れているそうです。このことは二葉亭四迷の『予が半生の懺悔』に記されています。

まとめ

言文一致体の先駆者とも呼ばれ、ロシア文学の翻訳にも携わった二葉亭四迷。才能がありながらも小説などの執筆に気乗りしなかったことには驚きですね。青空文庫で読める作品もありますので、これを機に二葉亭四迷の作品や人となりを知ってみてはいかがでしょうか?

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